2012年9月1日土曜日

神物語

さて前回の日記の最後、ミューぽんってアプリをちらっと書きました。
いろんな美術展の割引チケットアプリなのですが、よく見たら三菱一号美術館のエドワード・バーン・ジョーンズ展―装飾と象徴が最終日!ミューぽんは普通に有料のアプリなので使わないと損で終わるのにレーピン展で初めて使ったんですよね。しかも2012年でおしまいなので早く減価償却しないと丸損。
この展覧会、美術ファンからの評価が高かったこともあり行ってきました。二日連続美術館とか高校生以来だわ。あの頃は美術館ハシゴしたりしてた。


一般論ですが、展覧会は閉幕に近づくほど混雑します。もちろん最終日は最も混雑します。今ツタンカーメン展やってるけどあれなら最終日は入場5時間待ちでしょう、行く予定の人は早く行こう。
バーンジョーンズ展は普通に入って普通に見れましたがやっぱり結構混んでた。まあ分かるよ、
あ、○○の展覧会やってんだ行きたいけどあと一月半あるからいつでもいいや→最終日
このパターン。でもこの○○にバーンジョーンズ入れる人も結構沢山いるんだな。


バーンジョーンズはラファエル前派の画家で19世紀中ごろに活躍、これは近代です。この時代は美術史上大きな変遷がまあ色々と起きた頃です。バルビゾン派の興りとか第一回印象派展とかレアリスム宣言とか。
どの運動もそれまで散々蔑ろにされてきた世俗の世界に光を当てたもので、世俗画や静物画は一気に台頭しました。この革命にはジャポニズムも結構寄与してるんだろうなと思います。詳しい話は印象派の展覧会でも行って音声ガイドを借りてください。

で、そんな時代の大きな流れをガン無視したのがこのラファエル前派。時代の流れに逆らってる画家ってのはエネルギー感じますよね。印象派が変化へのエネルギーならラファエル前派は進化へのエネルギーみたいな。
この展覧会は全編に渡って神話、伝説、おとぎ話の世界を絵にしたものばかり。ギリシャ神話からご当地のアーサー王伝説、眠れる森の美女、等。

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「慈悲深き騎士」物語に出てくるイエスをドラマチックな感じに描いてました。その人ズバリを描くような聖人画は少なめな印象。過去の連中と同じことをしたいわけじゃないんだよ!前半エリアは「才気煥発の金髪美女」もよかったかな。

そしてここからの連作ラッシュが凄い。連作を描く画家は多いもののそれを集めて展覧会にするのって凄く難しいんだろうに、いくつもの連作をそっくり持ってきてくれてました。
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印象に残ってる連作が「ピグマリオンと彫像」の連作、6つも集まると物語性が凄い。自分で作った美少女フィギュアにガチ惚れしたから祈ってたら祝福受けて命を得たから結婚したという俺たちの夢の顕現みたいなストーリが凄い。
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一番好きだったのがこれ「メドゥーサの死 II」これも連作にして大作。緊迫感のある絵でした。

バーンジョーンズ以外誰も絵にしてないんじゃないの?みたいな主題の連作展が美術ファンからの満足度が高いのも頷けましたねー。残念ながら巡回展しないみたい。
しかしながら三菱一号の企画展は画家のチョイスが素晴らしいの一語!マネ、カンディンスキー、ウィジェルブラン、ロートレック、ルドン、バーンジョンーズと難しいところを選びながら見ごたえある企画展にしてます。ちなみに次はシャルダン。またこれもマニアックな…。