2009年5月14日木曜日

LOUVRE@NMWA





大工の聖ヨセフ!!





世界一有名な美術館と言えばまあフランスのルーブルで異論無いでしょう。METとかウフィツィとかプラドとかピナコテとかエルミタなどなど色々あるとはいえ頭一つ抜けてる感じ。まあモナ・リザが頭一つ抜けてるからしょうがないか。そんなルーブル美術館展が上野の国立西洋美術館でやってます。

とは言ってもね、実は結構やってるんですよルーブル展、知ってる限り関東だけで2回か3回はやってる。で何があったのか良く分からないけど、1回は都美術館だったからだけど、今まで1回も行ってない。って言うかね、そもそもルーブルのみから借りて展覧会やるのなんて稀で。だからルーブル展って名前になるんだけど普通企画に合う絵画を世界のいろんな美術館から借りてくるわけで。もちろんルーブルから借りることも多くむしろ企画展に行ってルーブルノータッチってことは少ないくらい。そういう意味では○○美術館展なんて企画としてダメですよ、○○美術館行けば良いだろって話になりますから。普段美術館行かないのにルーブルって名前だけで行ってましてやそれだけ見て常設展はスルーなんて館に失礼だろと思います。


ただねー、今回はどうしても見たい作品があったんですよね、上で叫んだ大工の聖ヨセフ(ラ・トゥール作)がそれなんですけど。と言うのも4年前国西でラ・トゥール展がありました、ラ・トゥールの真筆は40作(多分偽物も入ってる)位しか残ってなくて5/7の日記でちょっと触れた「謎の画家」は彼こそ相応しいと思います。フェルメール?謎でも何でもねえよ!
当然ラ・トゥール展なんだからラ・トゥールが沢山来て…ない、5枚くらいしか来てない。無理も無い。でもそれでも良かった、あのマグダラのマリアの静謐さと言ったら!!


その時掛かってたのが大工の聖ヨセフ………のコピー。


美術館にポスター貼るなんて何してんの国立西洋は。初めてですよ私をここまでコケにしたオバカさんとは言わないけど5年経った今でも隣の「この作品は展覧会上非常に重要な作品なのでコピーを展示しました」の表示は良く覚えてますよ!!そりゃあもうマグダラのマリアよりはっきり覚えてますよ!!!
そんなわけでもう去年のNFL頂上決戦スーパーボウルの間のCMでルーブル展にヨセフ来るのCMが流れたときゃ嬉しかったですね。僕の中では試合が決まりました。


行った感想ですがまず名前が凄い、ラ・トゥールばっか語ってますけどフェルメール、レンブラント、ベラスケス(工房)、ルーベンス×2のSランク画家だけでなくニコラ・プッサン、ファン・デル・ウェイデン、ファン・ダイク、フランツ・ハルス、ロイスダール、ムリーリョ、ヘリッジ・ダウなどこの辺の知名度A~Bランク画家が良い仕事してました。これだけでぴんと来た方はこの日記は読まなくていいと思いますが全員17世紀の画家で展覧会も正式には「ルーブル美術館展ー17世紀ヨーロッパ絵画」
素晴らしい、素晴らしい割り切り。ルーブル展なんて言ってあのでっかいルーブルから古代も近代も彫刻もいろんなの持って来ようぜなんて言ってもどうせ薄っぺらくなるに決まってる。それなら一時代切り取ってがっつりその時代を見せてくれたほうがどんなに良い事か、しかも17世紀、いわゆるマニエリスムの影響受けつつバロック時代をチョイスって国西は最高に分かってます。

フランツ・ハルスを見た時は早起きして来て良かったと思いましたね、私を美術ファンにしたレンブラントの油彩を6年ぶりに見れたり、まさかのベラスケスの王女マルガリータに合えたり、珍しい戦争画を見れたりしました、オスマントルコ強すぎ。大工の聖ヨセフですけど表示は「大工ヨセフ」になってました、確かにラ・トゥールらしく神性よりも人間美の印象が大きかったのでこれからは僕もそっちで呼ぶことにします。

それより何よりまず混雑で順路が分かりにくく僕も美術展で初めて出てから数点見落としに気づいた迷路構造にバリバリのヴァニタス画(複雑な寓意を持った絵)やトンド(丸い絵)に解説パネルはおろか音声解説にすら一切説明をつけず鑑賞者を混乱に陥れ、音声解説はと言えばCV:中尾彬で油断させていきなり専門用語を無解説で連発する完全にルーブルの名前に釣られて来た初心者ホイホイ。一方で当たり障りの無い絵をチラシにして教師を釣りうるせえ小学生の団体を呼び込んだ後半に裸婦画バンバン貼りまくって小学生の内から訓練された美術ファンを増やそうとする国立西洋に痺れるあこがれるぅ!


そんな感じで今回も楽しかったです、ただ朝一で行ったのに混んでました、普通に昼行けばメッチャ混んで静かな鑑賞は無理ですね。おばあちゃんを蹴散らして進むしかありません。知識も体力も極めてタフな能力の要る展覧会でした。