2008年12月27日土曜日

部屋とワイシャツと私とアイロン


一人暮らしをしていると不可避的に家事をやらなきゃいけなくなるけど、好き嫌いは当然生まれるわけで。


つまり僕はアイロンがけが好きだ、アイロンがけでは洗濯して出来たシャツの皺と私の思考が1対1上への写像を作っている。蒸気の中で日常要求されない時間が止まって感じるほどの集中を以ってテーブルの上に皺の無いシャツのイデアを想起しながら肘からアイロンまでを一体として脳と筋が活動するのはとても文学的な些事だ。

アイロンがけが料理と違うのは無欲でなくてはならない事だ。あれを食べたい、食べさせたいという欲望を芸術に昇華できるのは料理の素晴らしい点だがアイロンがけは違う、ただただシャツの上を這わせることに専念しなければならない。こうなるともう私が皺を伸ばしているのではなく皺が私を伸ばしている、どこの国でも。

アイロンがけを楽しむには良いアイロンを持つ必要がある。いくつものデジタルガジェットを使ってきたがでいずれもあらゆる点で僕は妥協を余儀なくされていた。そんな中唯一要求を超えるスペックを発揮しているのが我が家のTfal Ultraglide Diffusion70だ、ファインセラミックスが繊維に対して最高の摩擦係数で気持ちよく滑っていく。スチーム機能も付いている。上位製品が出ているようなので今から買う方にはそちらをお勧め、僕も機種変したい。

残念なことはアイロンをかけた服を後畳んで仕舞う必要があるということ、これは何も面白くない。もう一度しわくちゃにしてアイロンをかけなおした方がマシに思えてくる。だってそうでしょう?アイロンがけっていうのは変化なんですよ、着れない物を着れる物にする大きな変化、対して畳んで仕舞うって行為には何の意味もない。服ってのは畳んである状態で使う物じゃないわけだから着れる物を着れない物にしてるわけだ。何とか機械化できないかと思うが世間的にはアイロンがけを機械化したほうが喜ばれそう、嘆かわしい。